[ART FAIR] ART TAIPEI 2016 出展作家を紹介します

Y++ Wada Nakahashiとして参加するART TAIPEI 2016

Wada Fine Artsからは杉山尚子、海老原靖、石田徹也の作品を出展します。

杉山尚子

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杉山尚子その問題提起から
作家 ”際限がない形の創出”という問題に対し ”見えないものを利用する いう発想に辿り着きました

当画廊で初の個展が開催された1998年は杉山が留学先のウィーンから戻って数年が過ぎた時期だったと記憶しております。杉山はウィーン時代に現代アートの巨匠ライナー(Arnulf Rainer)に師事しています。現在も、杉山の作品はシャープなミニマリズムを追求している様に見え、実はその頃のライナーの目指した表現主義的な要素を色濃く留めています。

hsugiyama_unnamed-2かつて、表現主義とミニマリズムは対極に位置した関係にありました。ミニマリズムは、表現主義の目指す偶然性や感情の発露への否定から始まり、芸術への理性回帰がその原点だったからです。その後、この対峙する表現についての論争が終焉しつつ、双方がその立場をそれぞれに確立した後の世代として、杉山は、そのどちらの立場も冷静に受け入れる事ができたのです。その過程で、杉山自身はウィーン留学を経てミニマリズムへの傾倒を強くします。それは杉山自身が極めて知的で理性的な思考を持った人物であり、建築工学の研究者を父に持つという根源的なルーツからも自然な成り行きだったと考えられます。しかしながら、杉山は厳格なミニマリズムだけでは自身の表現に満足する事は出来ず、表現主義的な感性が漂わせる絵画としての深淵さも捨て去る事はありませんでした。それは、ライナーとの出会い、又、その以前に、東京芸術大学で師事した日本を代表する現代作家野見山暁治氏との出会いも大きかったのではないかと思われます。

hsugiyama_unnamed-3それでは、杉山自身の根源的な作品のテーマとは何か、それは、下記に示す”視覚”への考察であります。
「我々が動くことにより、視覚の中で物体は形を変化させる。実在する物の見え方が変わり行く事への疑問を如何に解決するか?つまり、全ての物は見る角度によって違う形を創りだす。アートとしての普遍性を追求するためには、一つ一つの角度から見える形の分だけアートが存在する可能性がある。」

この考察はキュビズムという解決法を見いだしたピカソの時代から現在に至るまで問われている普遍的なテーマです。しかし、多くの現代人にとりキュビズムは芸術上の一つの様式にすぎず、この問いの回答とは感じられません。その結果、杉山は、”際限がない形の創出”という問題に対し、”見えないものを利用する” という発想に辿り着きました。そこには、杉山自身が傾倒した文学者、イタロ・カルヴィーノの文学的なアプローチからの影響があったと考えられます。そして、カルヴィーノについての著述も多く残している、松岡正剛氏が稲垣足穂の一節について語った「不在の実在性」ということばを想起させます。この言葉は我々に真の視点「概念としての知覚」を提唱しています。そして、杉山はステンレスや、木材を用いて制作している立体作品の中でその具現化を試みています。

hsugiyama_unnamedこの様に、杉山はこのテーマに基づき、多くの葛藤の中で様々な実験を試みています。立体作品と平面作品との同時制作は、次元を行き来する事によって得られる様々な視覚の確認ともいえるのです。

当画廊は、過去18年間に8回に渡る杉山尚子氏の個展を開催し、作家の軌跡を見て参りました。作家の活動は、2000年以降のコマーシャリズムを利用し、シリアスなムードを意図的に否定してきた風潮に一切の関心を示さず、一貫した姿勢を通し続けてきました。今、多くの人々の心に、アートの本質への回帰が芽生えつつある中で、アートh_sugiyama_corido_paple_2016_72とは何か?という問いに対しての一つの答えとして、杉山尚子という作家の現存を世に明かす機会であると信じています。

 

 

 

 

 

海老原靖

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Kiss (2016) oil on canvas 227 x 162cm

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4年ぶりのアート台北にあたり、台北ではお馴染みの作家、海老原靖の作品を展示する。ノイズの大作を中心に様々なシリーズを纏めて展示し、海老原の多彩な才能をアピールしてゆく。ここ台北では特に、ノイズシリーズは人気が高い。細い横線を重ねて描く独特の技法を用い、映画のワンシーンを描く。動画では目に留まらない演技者の表情の移り変わりをキャンバス上に凍結し、永遠に時を止め置く事をテーマにしている。又、2015年に作家自身の内面にベクトルを示したことで飛躍的に進化したカルキンシリーズは、台北では初の発表となる。薄塗りの油彩を漆技法のごとくに、何層も重ねて描くこのシリーズは海老原の様々なシリーズの中でも突出した魅力を備えている。脆弱性をテーマとし、色彩、コンポジションの繊細な美しさは普遍的な絵画の深淵に触れている。

石田徹也

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speed (1996) Acrylic on board 148x104cm

2014年、日本では平塚市美術館、静岡県立美術館他、計4箇所の美術館を巡回した「石田徹也展−ノート、夢のしるし」が開催され、同時に「石田徹也ノート」が出版された。これは、石田徹也が生前に残した作品のソースなどを記述したアイディアノートが出典元となっている。このノートには作品のアイディアや、その制作意図、又、具体的なエスキース等が含まれている。こうした作品制作上のメモやスケッチ等の傍らに、様々な物時に向けた作家自身の感想等が短文として綴られている。その一節一節に作家の人柄が滲み、崇高なものへの憧れ、清廉でありたいと願う心が表現されており、彼の特徴的な作品のテーマが紐解かれてゆく。又、周到に練り上げられた作品の構図のシュミレーションや、登場人物の明確な人物設定の記述には驚ろかされる。この記述から、一つ一つの作品に費やした時間や、制作の思考的プロセスをも探る事ができる。彼は生前、饒舌な人ではなかったが、その分、思考が深かった事に改めて感心させられた。      

今回、アート台北には、4年ぶりの出展となる。そしてここで、石田徹也の作品を数点展示する事にした。結果、又こうして、石田徹也と向き合う機会を得た。2013年、作家が他界してから8年が経った頃、石田徹也という作家がこの世から消える事もなければ、特別な注目を浴びる事もないだろうなどと、思っていた矢先、この年以降に大きな飛躍が待っていた。日本では、2年半をかけ、4箇所の美術館で100点を超える規模の個展が開催された。そしてNHK新日曜美術館の2度目の特集も決まった。当画廊でも初のアートバーゼルHKの出展の機会を石田の個展ブースで叶える事となった。石田徹也自身もバーゼル作家の一員となった。その後、香港のガゴシアンギャラリーでの個展も決まり、石田徹也展のオープニングレセプションには、画廊集客数のレコードを打ち立てた。余談だが、ガゴシアンといえば、世界に16箇所の支店を持ち、様々な意味でアート界への影響力は業界一と言っても過言ではない。多くの現代作家にとって、ガゴシアンは燦然と輝く金字塔と言えるだろう。そして、2014年には未踏の地、アメリカ合衆国での展示のチャンスを得た。一つは予てからの石田のコレクター氏企画による、ロサンゼルスのアシアンミュージアムでの個展、と、同時にアートバーゼルマイアミで、作家の生前のアトリエを再現するという大規模な個展ブースを当画廊により展示する事ができた。その後、2015年にはアートのオリンピックとも言われている、ベネチアビエンナーレへの出品も飾った。生前から世界に目を向けていた石田は、その頂点の場所に名を刻む事に成功した。

“Tetsuya Ishida Premium Print 2014” 石田徹也の版画3枚セット

このプリントは作家生前時の唯一のプライマリーギャラリーだったギャラリーイセヨシ(現在ワダファインアーツ)が版権を持つ作品から選りすぐりの3点をプリントにしました。このプリントは、高品質な和紙に特別な加工を加え、驚異的な色彩再現性を誇る高性能デジタルプリンターを使用し、その専門技術を開発したQbicとのコラポレーションで制作いたしました。又、3点セットのカバーには和服用の包装材であるたとうを当プリント用に特別注文しました。

下記3点セット
「荷物」「無題」「草食竜」
30 x 45 cm, エディション100
※特別限定プリント認証のワダファインアーツの印鑑、サインあり

荷物

荷物

無題

無題

草食庵

草食庵

原 高史
原高史の人気シリーズ「pocket book」のプリント作品です。
22 x 20 cm、 作家によるサインつき。エディション100。
Giclee print by Qbic

Pocket Book

Pocket Book

 

DATE: 2016/11/12 – 15

VENUE: Taipei World Trade Center | Exhibition Hall 1 (Area A+B+C+D)
BOOTH: I3 (Y++ Wada Nakanishi)